6月11日、インド・バンガロール。
モロッコで出会った裕子さんがバンガロール在住で、「Muse Creation」という慈善活動グループに所属していました。
バンガロール滞在中はその裕子さんから紹介を受け、Muse Creation代表の坂田マルハン美穂さんにお会いしてお話を聞いてきました。
ということで今回は、お話を聞いた社会貢献NGO団体 Muse Creationの活動内容や創設のきっかけ、大事にしていることを紹介します!
社会貢献NGO「Muse Creation」とは?
「ミューズ・クリエイション」は、バンガロール在住の日本人女性有志による慈善活動のグループです。自分たちの持つ創造力を生かし、楽しみながら地域社会と関わり合うことを目的に、2012年5月に発足されました。
ミューズ・クリエイションのメンバーは、「歌」「紙」「布」3チームのいずれかに所属し、活動します。毎週金曜日には、「サロン・ド・ミューズ」をオープン。メンバーは自由に出入りして、交流を深めながら各々の活動を行います。慈善団体の訪問やイベントへの参加、バザールの実施などを目標にしつつ、「楽しみながら地域社会と関わり合う」機会を目的にしています。
具体的な活動内容としては以下のようなことでこれをチームに分かれて活動しているそうです。
- 創造:毎週金曜日、歌ったり、作ったりと、クリエイティヴな時間を楽しむ。
- 販売:メンバーによる手工芸品や、NGOが制作する商品をバザーなどで販売。
- 寄付:地元の慈善団体に、バザールの収益金を寄付。不用品なども託す。
- 交流:慈善団体で、歌や踊りを披露。折り紙の教授やゲーム遊びなどの交流。
- 学習:各種ライフスタイルセミナーの実施。有意義に生活するための情報提供。
- 娯楽:サリー・ランチ、季節のパーティ、ピクニックなどイヴェントの実施。
*Muse Creationの活動記録はこちら。
Muse Creations創設の経緯
坂田さんが2005年にアメリカからインドに移住した時、目にしたのは物乞いをしている子どもたちなどの路上にさえ溢れている社会問題でした。最初の方は新しい土地で自分の仕事を軌道に乗せることを優先していたため見て見ぬふりをする日々が続いていました。
しかし、ある時「アクシャヤ・パトラ」という給食サービスのバスの後ろに書いてあった、
"Feeding for a hungry child is not charity. It's our social responsibility."「お腹を空かした子供に食事を与えることは、チャリティ(慈善)ではありません。我々の社会的責任です」
という言葉に衝撃を受け、自分自身がもっと何かやらなくてはいけない、ここで暮らしていく以上傍観者で居続けることは出来ないと思い、駐在員の奥さんなどの日本人女性を集めてチャリティーティーパーティーを始めました。
その中で寄付金や寄付の品を募り、有志の方とそれを持って慈善団体に訪問し寄付するという活動、「ミューズ・ソーシャルサーヴィス」の運営を開始し、 それが後に「Muse Creation」へと活動を展開することになります。
その決定的なきっかけは、ある時ドミニカン・シスターズというNGOを訪問した時です。
子どもたちと一緒に古新聞を切ってカブトを作る中で、共に訪れた日本人女性たちがものすごい勢いで創作していくことに驚き、その器用さに感心し、彼女たちのこういうポテンシャルを眠らせていくのはもったいないと思ったそうです。
そして、2012年の末、30人ほどが集まったチャリティーパーティーでみんなと一緒に意義のある活動を本格的にしていきたい、と投げかけたところ、その半数以上が手を上げました。その場で布、紙、歌チームができ、それぞれのリーダーも決まり「Muse Creation」の活動が始まったのです。
家族を支える女性たちが輝ける場所を。
駐在員の方の中には慣れない環境の中で体を崩したり、精神的に落ち込んでしまう人も少なくないといいます。またその子どもたちも日本と異なる環境で戸惑う子も多いのです。
そんな海外生活で大事なのが、彼らの健康、心を支えていく存在である奥さんたちです。
坂田さんは「カギを握るのは奥さんであり、お母さんたちなんです。彼女たちが楽しく前向きに生活していれば、きっとその家族は大丈夫です。」と話していました。
そのために駐在員の奥さんたちが海外で出来るだけ自分らしく輝ける場所を創っていくことが坂田さんの役目です。集まった女性たちが、有意義な時間を共有し、誰かがやりたいと言ったことを否定しないでじゃあ一緒にやってみようという出来るだけポジティブな場にすることを心がけています。
「Muse Creation」のホームページにもこう書いています。
ミューズ・クリエイションは、「創造すること」を軸に、ポジティヴで楽しい時間をシェアすることを一つの目的としています。インドの生活においては不満も多く、また狭い日本人コミュニティの中では、噂話も錯綜しやすいことだと思います。しかし、そのどちらをもに煩わされない、楽しく有意義な時間を過ごしていただくことを最優先に考えています。この点にご賛同いただける方のみ、参加していただきたいと切に願っています。
お話を終えて:ポジティブなコミュニティ作り
僕が世界を回ってみて驚いたことの1つに、主要な都市各所で日本人会などの日本人コミュニティが形成されていたという点があります。
そこに属する人たちは駐在員、起業家など様々です。
そして海外という特殊な環境で繋がりやすいというメリットもありますが、中にはそこに属することを敬遠する人もいます。その国に住む人達を見下したり、不満を発散するためのネガティブなコミュニティになってしまうからです。
しかし、今回お話を聞いた「Muse Creation」は、代表の坂田さん自身がそうならないように出来るだけポジティブなコミュニティになるように努めています。
やりたいことを否定せず認め合える存在、一緒に活動できる存在がいるというのは、それだけで心強いものです。
日本人の少ない海外だからこそ、こういうコミュニティ形成はもちろん、それをいかにポジティブにしていくかはとても大切なことなのかもしれません。
以上!簡単にですがMuse Creationを紹介させて頂きました!Muse Creationに興味を持った方はぜひ坂田さん(muse.india@me.com)に連絡してみて下さい。
坂田さん今回はありがとうございました!
*代表の坂田マルハン美穂さんのプロフィールは以下の通りです。
福岡市出身。梅光女学院文学部日本文学科卒業後、上京。編集プロダクション、広告代理店で海外旅行関連のガイドブックや雑誌など、印刷媒体の制作に携わる。フリーランスとして独立後、1996年に渡米。ニューヨークでMuse Publishing, Inc.を起業。日系企業を対象に広告、印刷、出版関連の業務を行う。また季刊誌『muse new york』を発行。2001年、アルヴィンド・マルハンと、インドのニューデリーで結婚。2002年、ワシントンD.C.に移転。ニューヨーク生活を描いた短編集『街の灯』(ポプラ社)を出版。2005年、カリフォルニアでの生活を経て、南インドのバンガロールに移住。2008-09年はムンバイと二都市生活を送る。新聞や雑誌のコラム執筆、ラジオでのレポート、視察旅行のコーディネーション、セミナー、市場調査など、日印を結ぶさまざまな仕事に携わっている。2012年に「Muse Creation」を開設、バンガロール在住の日本人女性とともに社会貢献活動を開始。地元のロータリークラブより国際親善賞を受ける。2013年、Muse Links始動。2015年6月、Muse CreationをNGOとして登録。