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−日本の英語教育を変えたい。−留学の経験から17歳で株式会社EUGENIC海外進学塾を創業した嶋津幸樹さん vol.1

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3月30日、イギリスロンドン。

近年、日本ではゆとり教育から脱ゆとりへと教育方針が変わったこともあり、沢山の教育論があちらこちらで飛び交うようになりました。

今回はそんな“教育”にスポットを当てたインタビューです。

高校時代の留学の経験から17歳で英語塾を創設し、出版を経て現在はイギリス留学中の嶋津幸樹さんにお話をお伺いすることが出来ました。

若くして日本の教育界に携わってきた嶋津さん。
vol.1(1ページ目)では留学や、起業に経緯などこれまでのヒストリーを、vol.2(2ページ目)では日本の教育の現状、これからの日本の教育に必要なこと、目指す教育像などを紹介します。

嶋津幸樹さんプロフィール

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1989山梨県生まれ。青山学院大学文学部英米文学科卒業。オックスフォード大学ELT研修修了。現在はロンドン大学教育研究所言語学専攻在籍。ケンブリッジCELTA取得中。

高校2年次に日本の英語教育に疑問を抱き、オーストラリア短期留学へ。その経験を元に帰国後、山梨にてEUGENIC海外進学塾を創設。大学在学中に3校を運営し、これまでに500名以上の生徒を指導。東京大学を始め、数多くの国内大学合格者、海外大学合格者を輩出。 著書に「PASSPORT150の英語語源単語帳~」「過去問で覚える英単語スピードマスター 」などがある。 

日本の英語教育に違和感を感じ、渡豪。

−本日はお忙しい中ありがとうございます!若くして沢山の経験をされていますが、まず、なぜ高校2年次に日本の英語教育に疑問を抱いたのか教えてください。

「はい。よろしくお願いします。

僕が入学した山梨学院高校は、たまたま文部科学省が英語教育を重点的に行うSELHi(スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール)[1]の指定校で、入学した頃から英語の授業は基本会話中心だったんです。

しかし、高校2年の時にスピーチやコミュニケーション重視から大学受験対策をしなければならない時期に入りました。つまり会話中心で楽しい授業から、座学中心の授業へ。

この時に数字で評価される偏差値教育にひどく違和感と疑問を抱き、日本にいたくない、海外に出たいと思ったんです。そんな経緯から、オーストラリアへの短期留学を決意しました。」

✔人生を変えた悲劇のオーストラリア留学

−人生の大きな分岐点となったそのオーストラリア留学ではどんな経験をされたんですか?

「海外での生活にウキウキして日本を出るも、そこに待っていたのは日本人差別という悲劇でした。

パース空港からホームステイ先に到着すると、早速ホストマザーに家のルールをひと通り説明されました。

その内容は、
・家にあるトイレットペーパーは使ってはいけない
・シャワーは5分以内
・冷蔵庫は使用禁止
・18時以降は自分の部屋からの外出禁止 という過酷なものでした。

また食事はポテトチップスにマヨネーズ、茹でただけのマカロニなどで、それを立ったまま食べさせられました。タオルを貸していただけますかと尋ねると、床から足ふきマットを拾い上げ渡される始末。

逃げ出したい気持ちでいっぱいでしたが、多額の留学費を支払った両親には本当のことを伝えられずに3週間が過ぎました。

[caption id="attachment_1271" align="alignnone" width="568"]留学先でファミリーと撮った写真は一枚もなかった。 留学先でファミリーと撮った写真は一枚もなかった。[/caption]

そして帰国3日前の夜、勇気を振り絞り拙い英語で、

「何故こんな扱いを受けるのか?」

と質問し和解まで持ち込みました。どうやら過去にホストをした日本人の態度が気に入らなかったらしく、それから日本人に対して偏見を持つようになったということでした。

「対等に話せないと何も始まらない、そして日本人として、違った価値観をもった人と異なる言語を使ったコミュニケーションの重要性を伝えていかなければ。」

留学から帰国後こう強く思いました。 

帰国後、英語教育を変える英語塾EUGENICを創設

−壮絶なオーストラリア留学から帰国された後は?

「留学の悔しさから日本の英語教育を変えたいと強く感じるようになりました。その思いで、帰国してすぐに近所の子供を集め、母親の手芸教室の場を借り23人の生徒を集め、英語教室:密塾(ひそかじゅく)を開いたんです。
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勉強が得意な方でありませんでしたが、留学を通して本当に必要な英語に気づいたことが自信となり、卒業間近には塾として経営を始めました。

そして、最終的に23人の塾生全員が英語検定でそれぞれの級に合格したんです。僕自身も全国模試で偏差値80を取ることができ、噂が噂を呼び、高校卒業時には教室に小学生から高校生までが溢れかえっていました。 

英単語の語源とLRT方式の授業スタイル

−そんな実績を残せたEUGENICではどんな指導法を取っていたのですか?

LRT【Learn(学習)&Review(復習)&Teach(教える)】、教えることで学ぶ、早く理解した生徒が他の生徒を始動するという授業スタイルを取りました。
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教えることを目的にすることで自ずと学習と復習を繰り返す。僕は塾生からのどんな質問にも答えなければならないという責任感で必死に予習をしたんです。

また当時の担任の先生に英単語がどのように構成されているのかを教えてもらい、英単語を語源から理解するという指導法も導入しました。

*以下、詳しい英単語の語源学習法について嶋津さんが書いたstory.jpの記事から一部引用させて頂きました。

“portの意味は「港」というのは常識ですが、「運ぶ」という語源があることをご存知だろうか?

意味は「港」
語源は「運ぶ」

ここに注目してimportという単語を見てみる。

im(中に)+port(運ぶ)=輸入
ex(外に)+port(運ぶ)=輸出

ちなみにexit「出口」という単語の語源はex(外に)+it(行く)なので「外に行く」=「出口」となる訳です。接頭語・接尾語・原義を先に習得することで語彙数が増えれば増えるほど、難しい単語の推測が可能となります。” 

EUGENICを卒業、そしてイギリスへ。

−それからどのような経緯で現在の英国大学院進学に至るのですか?

「大学3年当時、EUGENICを創業してから500人以上の生徒を指導し、3校舎を経営し、その中から東京大学や海外の大学に進学する生徒が生まれましたが、自分自身のたった少しの海外経験では生徒たちのロールモデルにはなれない。

30歳でピークを迎えるという危機感がありました

また、今までは地域密着型で手の届く範囲の学生を指導してきて、自分の限られた生徒には貢献できました。しかし、これからは日本全体に影響を与えていかなければならない。でなければ、あのオーストラリアで痛感したことはただの経験として終わってしまう。

文部科学省に対して影響力のある発言をするためには世界レベルの理論と実践が必要だと考えたんです。

大学3年の時、上智大学院の先輩がコロンビア大学院に進学する話を聞いて、海外の大学院に行くという選択肢が見えてきました。そこで言語学世界ランキングで上位に位置していたオックスフォード大学に行こうと考え、勉強を始めました。

大学3年の夏にはオックスフォード大学留学のチャンスを得て、ここで勉強したいとより一層思うようになりました。
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2年の準備期間の末、オックスフォード大学院になんとか合格をしました。

というわけで、まずは世界での指導経験を重ね、言語学理論を勉強しようとケンブリッジ英語教員資格取得のため、今ここにいます。必死に勉強してロンドン大学修士課程で優秀な成績を修め、最終的にはオックスフォード大学の博士課程に進みたいと考えています。

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[1] スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクールSuper English Language High School、SELHiセルハイ)とは、2002年度から開始された日本高等学校における先進的な英語教育研究するための文部科学省主導のプロジェクトである。または、同プロジェクトに指定された高等学校もしくは中等教育学校(後期課程)を指す。2002年度の第1期指定校は16校。

指定された高等学校は研究予算が支給され、当然のことながら重点的に英語教育に取り組むこととなり英語教育に重点をおいた教育課程カリキュラムの開発や中学校大学との英語教育の面での効果的連携のあり方を研究していく。1度SELHiに指定された場合、以後3年間研究活動に取り組むこととなる。新規指定は2007年度をもって終了。事業は2009年度をもって終了した。