3月29日、イギリス・ロンドン(この日からヨーロッパではサマータイムが導入されました)。
「素晴らしいコトや美しいモノを発信していきたいんです。素敵な事があったら誰かに伝えたくなりませんか?」
そう話すのは、現在ロンドンでフリーのライター、編集者(そして主婦)として活躍するマクギネス真美さん。
日本の編集者経験を経てイギリスに渡った経緯、ライターとして発信することの思いや記事を書く際に大事にしていることなど、今回は“発信”という点に着目してお話を聞くことが出来ました。
✔マクギネス真美さんプロフィール
イギリス在住の編集&ライター。
1993年より月刊誌『花時間』編集部在籍。編集者として、フラワーアレンジメント、ガーデニング関連の企画編集はもとより、旅行、インテリア、雑貨、ウエディング、料理、人物インタビュー、ブックレビュー等、多岐にわたるジャンルの企画を手がける。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年5月、それまで一度も訪れたことのなかったイギリスへ「長めのホリデー」のつもりで渡る。2004年よりイギリスを拠点にフリーランスの編集者・ライターとしての活動を開始。共著「ハッピーハッピーロンドン」(双葉社)。ブログ「Mami McGuinnessのブログ」
✔BRUTUSに憧れ、26歳で雑誌編集者に。
-本日はお時間頂きありがとうございます!まず、なぜそもそも編集の道へ?
「大学時代から雑誌BRUTUSが好きで漠然と雑誌の編集を仕事にしたいと思っていました。
なので、就職活動時期にはマガジンハウスを始め、多くの出版社を受けましたが、当時、出版業界はとても人気の業界で倍率が高かったこともあり、希望の職につけませんでした。
結果、広告代理店に就職しましたが、それでも雑誌編集者をあきらめきれず、就職してすぐに「第2新卒」と「中途採用」の両方で就職活動を始めました。かぞえきれないほどの不採用通知を受け取り、出版関係の財団法人で一時従事した後、26歳のときに当時同朋舎出版(後に雑誌は角川書店より発行となる)が刊行していた月刊誌『花時間』の編集部員として採用され、遂に念願の雑誌編集者になりました。」
✔退職後、縁のなかったイギリスへ。
-ではその後、どんなきっかけでイギリスへ渡ったのですか?
「今ではこうしてイギリスで編集&ライターとして活動していますが、当初イギリスへ渡ったのは全く別の理由でした(笑)。
雑誌編集者の仕事は約10年近く、思いきりエンジョイしましたが、仕事量など色んな意味でハードな仕事だったため、これ以上、同じ形での働き方はできないと感じました。とにかく「一旦休憩しなければ」という思いで、先の予定は何も決めないままで角川書店を退社しました。
わたしは元々タイが好きで、タイの子供の教育支援にCharityとして間接的に関わっていたこともあり、海外のボランティアに興味があったんですね。
イギリスへ渡ったのは、そんな風に海外で何か出来ないかと模索している時に図書館で読んだ本の中に、「イギリスだと、色々な形でチャリティに参加することができる。 」ということが載っていたのを目にしたのがきっかけです。そうした理由に加え、英語習得という目的もあり、イギリスへの渡航を決めたんです。」
✔「自由と責任」フリーランスの魅力とは?
-現在はこうしてライターや編集者としてフリーランスで仕事をしていらっしゃいますが、フリーランスのメリット・デメリットは何ですか?
「フリーランスというのは、『すべての責任が自分にある』というのが素晴らしいと思います。それはすなわち依存するもの、頼るものがない、ということにもなりますが。
また、満員の通勤電車で毎日会社に通う必要がないのもありがたい!
もちろん、働いた分しかお金は稼げないので、会社員のように毎月決まった日に決まった金額が必ずサラリーとしてもらえる保証はどこにもない、というのは当然のことです。
自分ですべてを決めなければならない、というのは、自由で素晴らしいですがキツいことでもあると思います。」
✔全ての人に対して「誠実に」発信していく。
-マクギネスさんが記事を書く際、そして、発信する際に大事にしていることがあれば教えて下さい。
「取材相手に対しても、読んでくださる人に対しても、そして何より自分に対して誠実であることです。
例えば、人物インタビューに関して言うと
伺ったことを上手く引き出して読者に伝える、その人が本当に伝えたいことをどうしたら伝えられるのかをひたすら考えます。
しかし、書いたものは書き手のものでもあるので、自分がいいと思わなかったことを「良い」といってしまうというような嘘は書けません。わざとよく見せようとしない。虚飾をしない。そこで自分がどう感じたか?も大事にします。
また、ショップ紹介、イベント案内といった内容の記事を書く際でも、ニュースリリースなどを丸写しするのではなく、できるだけ現場に足を運んで取材をする、または取材ができない場合でも、電話やメールなどでインタビューをし、自分が記事を書いている媒体の読者に合うような内容を一言でも添えたいと思っています。それが、読者に対しても、取材先に対しても、そして何よりそれを伝えようとしている自分に対しても誠実であることだと思っています。 」
✔素晴らしいコト、美しいモノを。
-これからの将来設計(こんなことを実現したい)などがあれば教えて下さい。
「明日のことはどうなるかわからないので、今日、今を大切に日々を暮らしたいと思っています。
また、どのようなメディアであれ、素晴らしい人、素晴らしいこと、素晴らしいもの、素晴らしい場所などを人に伝えることを続けていきたいです。
世界各地で起こっている戦争や悲惨な出来事を伝えるジャーナリズムも大切だとは思いますが、わたしは自分自身が見て、知って、感じてハッピーになれるようなコトやモノを発信していきたいんですよね。そしてそれらを発信できることがわたしの幸せなんです。」
✔臆することなく、発信していこう。
-最後に日本の若者へ何かメッセージをお願いします。
「今は昔と違ってTwitterやfacebookなどのSNSを通じて誰もが簡単に発信することが出来るようになりました。わたしが就職活動期に「自分の伝えたいことを世の中に発信するには何が何でも雑誌の編集者にならなければ!」などと思い込んでいた時とは全く違います。
ですからそういうツールをどんどん利用して日本や、世界に臆することなく自分の考えや思いをどんどん発信してみてはいかがでしょうか?」
✔インタビューを終えて:発信することはアクションを起こすための出発点
ぼくが本格的にブログを始めたのはこの旅に出る約1ヶ月ほど前から。そんなブログ歴1年にも満たないぼくだからこそ、仕事としてライターや編集をしている今回のマクギネスさんのお話は参考にできることが多々ありました。
発信するというのは自分の価値観を露呈すること。自分はこういう意見を持っていてこれに興味があって、これに感動する人間なんです、と自分の価値観をどんどんオモテに出す行為です。
突き詰めると、発信することは自分でアクションを起こすための出発点になりえる。
だからマクギネスさんが仰ったように、臆することなくどんどん自分の考えていることを周りに発信していくことが大切なのかもしれません。
読んだ記事に対して自分が思うことを発信してみる、1日の最後に自分が思ったことを書き出してみる。そんな些細な発信が今の自分を変えていくことに繋がるはずです。
意見を持ち、発信し、アクションを起こしていこう。
最後にマクギネスさんのブログから一部分を引用してみました。
「英国で素敵だな~、と思うものはいろいろありますが、
なかでも、見るたびに「にんまり」してしまうのが、
手をつないだカップルです。
~中略~
日々生きていればいろいろなことがあるし、
それぞれのカップルにはそれぞれの歴史や事情があるでしょう。
二人でいることがいつも楽しいことばかりとは限らないだろうけれど
それでもお互いに手をつなぎあっていられる、
そういうのって
素敵だなと思うのです。」