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「ハングリーに。貪欲に。」日本人に足りない個を主張する大切さ。−山崎美未さん(WIN/WIN Properties, LLC パートナー・マネージングディレクター、NY Suteki,inc.代表取締役)−

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2015年1月2日(金)アメリカ・ニューヨーク。

世界のビジネスを牽引しているこの地で、一人の女性の経営者の方とお会いしました。

−今回ご紹介するのは、アメリカを拠点に翻訳会社、そして不動産投資会社を起業した山崎美未(みみ)さん。理路整然としたハキハキした口調で、山崎さん自身の大学生時代のことや、起業をするに至った経緯、アメリカと日本の違いなど沢山のことをお話して下さいました。

山崎美未さんのキャリア

東京生まれ。米ワシントン大大学院国際ビジネス学科卒。WIN/WIN Properties, LLC (http://www.winwinpro.info/)パートナー・マネージングディレクター、NY Suteki,inc.代表取締役

大学を卒業後、日本で会社勤務。その後、単身でアメリカのシアトルにあるワシントン大大学院に進みます。卒業後はアメリカの大手翻訳会社に入社し、その後、独立。現在は日本政府の研究機関やアメリカ企業をクライアントに、金融、医療、食品、法律、企業起業訴訟などを専門とした、英、日、中国語の翻訳会社と、アメリカ不動産投資の会社を経営しています。

大学時代から翻訳会社を起業するに至った経緯

−大学時代から起業に至るプロセスを教えて下さい。

「大学時代は超オタクで、主に読書をずっとしていました。私、天邪鬼なんですよね。大学では周りがみんな遊んでいたんですけれど、それに面白みを感じなかったんです。一方で、読書が好きだったので、図書館で文学、科学、宗教、伝記、どんな分野の本でも好奇心のおもむくままにひたすら読んでいましたね。

米ワシントン大大学院に進んだのは、小さい頃から海外に住みたいっていう一種の憧れがずっとあったからです。それに、アジアに住んでいてはなんだか自分に厳しくなれない、なあなあになってしまう。それだったら白人の国で、一人のアジア人として環境にもまれながら暮らしていきたいそんな考えもあり、一度、就職してお金を貯めてから、アメリカの大学院に行くことを決断しました。

ワシントン大大学院で海外ビジネスについて体系的に学んだ後、大手翻訳会社Berlitz Translation Servicesに入社しました。起業に至ったのは、週末にバイトで受注していた翻訳の仕事の注文が殺到して、自分一人ではさばききれず、知り合いの翻訳者たちに仕事を振ったことがきっかけでした。で、少しだけ自分のマージンを取っていたんですが、じゃ、いっそ会社にしちゃおうと。

だから、私の場合は副業で行っていたバイトから、同じ翻訳の業界で起業したなんちゃって起業”なんですよね。」

徹底的実力主義のレビュー文化

−山崎さんの会社を運営する上で特に意識していることはありますか?

「私の翻訳会社ではそもそも正社員がいません。一時期雇っていたこともありますが、今では、各プロジェクトごとに各国のフリーランスの優れた翻訳者にアウトソーシングしています。その中で、私が取っている制度は、彼らを評価するだけでなく、その逆もあり、彼らが自身に点をつけ、評価する「相互評価制度」です。お互いに評価することによって、より緊張感が増し、従業員や私も含め会社全体の質が向上していきます。

アメリカ、特にNYは、日本とは違って徹底的な個人主義実力主義の世界です。また、相互評価制度のようなレビュー文化が浸透していて、頑張れば頑張った分だけ評価される。能力のある人が正当に評価されるという形式を、うちの会社でも導入しています。

不動産投資会社WIN/WIN Properties, LLCの方は、20代前半の日本人男性と30代の中国人女性とパートナーシップを組み、マーケットをグローバルに展開してます。この会社では、3人がそれぞれパートナーで対等ですので、問題があれば正直に思ったことを、各自にリスペクトを持ちつつ、忌憚なく言います。

また、3人とも日本語ができますが、アメリカ人と交渉することが多いので、外部に対してのメールだけでなく、私たち内輪のメールなども英語でやりとりすることが多いです。日本語という言葉は非常に美しい言語ですが、含みがありすぎて、ビジネス向けの言語ではないですね。賛否両論ありますが、私は楽天のやり方は正しい方向だと思います。また、当社のウエッブは日、英、中の三か国語で出しています。

受け身な日本人。赤信号でも渡る?渡らない?

−世界中から一旗揚げようとする人が集まるNYで暮らしていく上で、大切なことは何ですか?

『へりくだらないこと』と、自分の頭でものを考えてそれを主張することです。

謙遜が美とされる日本とは真逆に、個と自分の才能を主張していかないと、徹底的弱肉強食のニューヨークでは生きていけない。例えばニューヨークでは、赤信号でも車が来ていなければみんな関係なしにどんどん渡る。みんな忙しいから時間がもったいないのです。引かれても自己責任。

一方で、日本はたとえ、車が来ていなくても信号を守る人が大多数。それはいいことなのかもしれないけども、自分の頭でものを考えないで、ただ上に従う受け身の文化の象徴でもあると思います。場の空気を読むのではなく、積極的に自分を主張していかないと、特にNYでビジネスは成功しません。ビジネスだけでなく、学校でも、学生たちが授業の中で徹底的に議論するのが通常なので、何も言わないと単に「自分の意見もないバカな奴」と思われて成績も低くなります。

ディナーパーティでも、みんなとにかく我も我もとしゃべくりまくるのが普通で、何も言わないと「退屈な人」と思われて次から誘ってもらえません。

ハングリーに。貪欲に。

−最後に日本の大学生に向けてメッセージをお願いします。

アメリカは日本と比べていい国では決してないけど、イノベーションとか起業家、やる気のある人が多いと思う。ここの人たちは自分の人生も、政治も経済も自分たち自身が作っている、自分の住む社会は自分たちが作っているという意識があります。だから、社会の現状に満足しなければデモもするし、じぶんの収入に満足しなければ何歳になっても大学に帰って学び続けて転職する。自分はこれだけ会社に利益をもたらすからその分これだけくれ、と主張する。または極貧でも起業する。

ひとことでいうと、人生に対してハングリーなんですね。

外から見ていると、日本人のほとんどは、なぜか自分の人生も政治も社会も、お上とか、自分以外の人や組織が決めて、それに従うのが普通だと思っている節があるようです。「水戸黄門」を期待している人たち、自分で決めて自己責任を負いたくない人たち、に思えます。

政治や自分の勤める会社に対して文句、愚痴は言うが、実際にそれを変えるために自分が立ち上がって行動しない。そこが結局最終的にはその人の一生をつまらなくしてしまう・・・。

ハングリーになれなかったら、他人から見てバカと思われようが狂気の沙汰と思われようが、なんでも一見無駄なことをやってみては?

自分に蓋をしない、やりたいことに貪欲になる。

もし、そのやりたいことが見つからない場合は私の学生時代のように本をたくさん読む、狭間さんのように人に会って話を聞く。別に将来外国に行って、起業する必要なんてまったくないし、ゲームするのが好きなら一年間とことんゲームする、または家でひきこもるならいっそ「引きこもり日本一」になるくらい引きこもりを極める、ことをおすすめします。なんでもいいので、自分の好きなことを徹底的にやってください、必ずそこから見えてくるものがあるはずです。

お話を終えて。

山崎さんとの話で印象的だったのはやはり、日本人が受け身だということです。

場の空気を読むというのは、昔の大企業が終身雇用制を保証していた日本では通じていた話かもしれませんが、今は状況が違う。大手でも業績によってはクビを切られるのが当たり前。そんな時代に通用するのは間違いなく、お話に挙がった空気を読まない、個人を主張する人たちなのだ。空気に流されることなく、自分の頭で考えることが出来る人。

山崎さんとお話をしていて、その内から溢れる自己愛がしかと伝わってきました。

自分に自信を持って、主張していくこと。

日本人に足りないもの、それは山崎さんのように、例え、異国の地だとしてもしっかりと自分の思いや考えを主張していける勇気なのだと思いました。

自分が今やっていることが流された結果やっていることなのか、自分の意思で決めたことなのか、今一度振り返ってみるといいかもしれません。

狭間純平